現在、海外企業への出資、現地法人の設立、駐在所の設置など海外へ進出する企業が増加しています。ちょっと長くなりますが、簡単な視察報告第1弾として・・・・
今回の視察先のベトナムに進出の日本企業は2012年の民間調査会社の調査結果、日本企業は1542社としています。業種別では、「製造業」319社(47%)「卸売業」319社(20,7%)ソフトウエア業71社(4,6%)であります。
富士市からも、商工会議所が把握しているだけも、ベトナム進出企業は、8社あり、今後更に増加することは予想されています。富士市の企業が海外へ進出して行く理由はなんなのか、中国進出からシフトがベトナムに変わりつつある現状がどこにあるのか、産業都市富士市の企業留置・誘致を図る上でもグローバルな視点に立った上で考える必要性はあると思っていました。
幸い今回の視察では、企業視察以外に
ジェトロハノイ事務所の海外投資経済連携促進アドバイザーの細野氏。
ファーノイ工業団地でデベロッパ—を進めているIDE INTERNATIONRでのコンサルタント業をしている井出氏。
ベトナム北部で一番最初に進出した野村証券出資の野村ハイフォン工業団地の桝野社長。
ベトナム進出には、当然チャンスも多いですがリスクを伴っている事は歪めないと思っていましたので以上の3氏から現場視察以外にそれぞれの立場からのベトナム経済の環境、投資状況、ハノイ、ハイフォン各工業団地の状況の説明を受けられた事は大きな収穫でありました。
3氏の共通したベトナム進出の魅力は
・増加する人口、活力ある若い国民(平均年齢28,2歳)
・高い経済成長率、ODA.FDIによる資金流入
・発展途上のマーケット
・比較的高い教育水準(識字率の高さ)と手先の器用さと優秀で安価な労働力の確保
・地理的条件の優位性(アジア圏内地続きでの陸送と港がある優位性)
・民主的な共産党であり、安定した政治
・国民の経済向上欲の高さと親日的な国民性
・電気代が安く、各種基準が緩い、法人税が安い。土地は50年貸与契約で固定資産税がない。
・地震がない為に建物コストが安い。
*結論的には日系企業にとって、そこそこインフラが整っており、人件費が安く、総じてのコストが安価であるので、ある程度の条件が整った居心地のいい国である
問題点として挙げられる事は
・インフラ整備が遅い。交通事情が良くない。1時間の活動距離は30キロ程度。水力発電に頼る電力の安定供給に不安
・信用システムが未成熟である。未成熟な、銀行システムと決済システムの機能不全。
・コーポレンガバナンスの未成熟。共産主義の社会は賄賂で成り立っているといっても過言ではなく、コンサルタントを入れないと話が進みにくい
・構造的な問題をはらむベトナム経済。曲がり角に来ているベトナム経済として、不動産バブルと高インフレによる富裕層増加。人件費の高騰。2011年にはバブル崩壊・景気低迷、未だ成長軌道に復帰していない。
・素材産業と裾野産業が育っておらず日系企業の現地調達率の低迷。現地調達コストが高い。リードタイムが長い、為替リスク、輸入手続きの事務が面倒等々
現況、進出企業の中小企業25%が赤字であるそうで、ベトナム進出が進んでいる中では、様々な課題も知る事が出来ました。
光(海外進出のメリット)の部分だけ見ることなく、影(リスク)も知った上での海外進出は当然ですが、古くはチャイナプラスワン、今はポストBRICsとして注目を集め、ODAの実績からも親日家が多く、TPPの流れに加え、日系企業向けの特区も設ける意向もあり、インフラ面の遅れは指摘されるものの、まだまだ製造業を中心とした日系企業のベトナム進出は進む事は伺えました。
なお、富士市進出の企業は現況、ジェトロの細野氏からうまく行っているとの事と説明がありました。
簡単な視察報告と言いながらも、市内進出企業報告についてはその2に続く・・・・・