デュアル・モード・ビークル(DMV)という世界的にも特異な鉄道車両ならびに交通システムの開発がJR北海道によって進められています。その現状と展望について会派で視察してきました。
富士市においてはいち早く、平成19年1月にDMVの試験走行が成されました。また、平成20年には「富士市DMV導入基本計画」が策定されており、DMVによりシームレスな東西軸を形成して、東西方向の公共交通の基軸として概ね5年後の供用開始が目指されていました。
[導入効果のイメージ図)
しかしながら、JR北海道の開発動向や法令関係の整備動向を踏まえる中で、現在、新富士〜富士駅間接続、岳南鉄道問題等があり見直しがなされています。
あらためてDMV(デュアル・モード・ビーグル)とは!?
路線と道路の両方をスムーズに行き来できる新しい乗り物です。簡単に言うと、「線路も走れるバス」で、モードチェンジにより、線路走行から道路走行、あるいはその逆が可能となっています。利点として車両の導入費用が通常の鉄道車両よりも遥かに安い事、既存の鉄道軌道を流用できる事、道路も活用する事で弾力的な運用が出来る事等、公共交通(特に地方鉄道)の採算性に悩まされている日本の各自治体や鉄道会社から注目を集めています。
特に利点としてのコストダウンとして
車両費・保守費・燃費・重量比較
(鉄道車両キハ40との比較による想定)
車両費:鉄道車両約13000万円DMV約3500万円 *DMV鉄道車両の約1/4
保守経費:鉄道車両約440万円DMV約100万円 *DMV鉄道車両の約1/4
燃料消費量:鉄道車両約0,71L/kmDMV約0,13L/km *DMV鉄道車両の約1/5
車両重量:鉄道車両約40t DMV約7t *DMV鉄道車両の約1/6
DMV:既存の鉄道車両を1/4〜1/5ダウンサイジング
これからも分かるように大幅な経費のコストカットが可能となる事は分かります。
また、現在のDMV車両は第3世代としてのトヨタ自動車のDMV車両は、定員29名と拡大されており、モードチェンジもわずか10〜15秒と短縮されており、実用化に向けた様々な工夫が成されている事は確認できました。(更に多くの乗車が出来るよう、連結運行や混在運行も研究されています)
本格実用化されれば、富士市にとっても、現況の交通網を使っての有効な公共交通となりえる事は分かります。市長が言う「最小限のコストで最大限の効果」なのかもしれません。
ただ、JR北海道では、鉄路と道路を走行できるデュアル・ モード・ビークル(DMV)の実用化時期について、昨年5月の特急脱線炎上事故を受け、JR北海道では、DMVの開発を中断して安全対策に力を入れるとして、2012年春をめどとしていた従来実用化計画より 1年以上遅れるとの見通しを明らかにしていましたが、今回視察した時点(2012年8月1日)においても未だ具体的な見通しがっていない状況が説明されました。
また、実用化に向けては、国からもあくまでもJR北海道が行い、あらゆる問題点を解消してビジネスモデルを作り上げるように指導されているとの事でしたので実際にビジネスパッケージとなるまでは、開発再開してから導入運行を2年間を要するとし、JR北海道以外の場所での本格運行(実用化)はどんなに早くても3年以上はかかる事は伺えます。
先日の発表で岳南鉄道の公的支援を3年としていました。
DMVありきの話ではないとは思いますが、DMVの実用化までの時間的な問題は生じないのでしょうか・・・不安は感じます。