たま駅長に学ぶ公共交通再生

富士市においての公共交通機関として岳南電車がありますが、小長井市長は来年以降も適切な公的支援の方向性は2月議会最終日に打ち出しています。しかしながら、今後の支援については具体的なものはまだ示されていません。今後の岳南電車の存続については大きな行政課題の一つである事は間違いありません。ただ、地方の公共交通が儲からないのは当たり前と言われています。ではなぜどうやって守るのか。

CIMG3851     その意味で赤字ローカル線の再生を進めている三毛猫のたま駅長の活躍で日本のみならず世界的に有名になった和歌山電鉄貴志川線の視察をしてきました。
貴志川線については、2005年当時、南海電鉄の廃止を表明後、両備グループの岡山電気鉄道が100%出資する「和歌山電鐡株式会社」を設立し、南海電鉄を継承し地域と一体となって活性化に取り組み和歌山電鐡貴志川線の再生の成功に導いています。
CIMG3878(終点貴志駅ではたま駅長が迎えてくれます)
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現在の貴志川線は、両備グループのノウハウを基に、再建案が作られており、その内容としては、
1、スキームを公設民営とすること
2、運営会社は第3セクターでなく100%単独出資すること
3、「運営委員会」と言う組織を作って利用促進に取り組むと言う3原則を軸に、年間5億円を計上していた赤字を年平均で8200万円以内にする案を作って提案されました。貴志川線の鉄道用地は、和歌山市と紀の川市が2億3000万円で南海電鉄から購入しこれを全額和歌山県が全額補助しています。当時は第3セクターでなければ運営できなかったのですが行政が引き取ったものを無償貸与すると言う形で第1種鉄道事業者が運営できる仕組みを作りました。また、運営会社を公募しましたが地元の応募が無く、両備グループがやる事になったいきさつががあります。不可能と思われた貴志川線の鉄道再生が進んでいる事は、たま駅長とユニークなアイデアであると思われがちですが、抜本的なビジネススタイルの変化であります、それは、一番は補助金を公設民営にするというスキームに変えた事であります。欧米では一般にその交通権を確保する手段として「公設民営」「公有民営」と言う形がほとんどで上下分離により、行政と民間の役割分担が行われています。なりたたない地域公共交通において成り立たない固定費を公が分担し、運行経費を民間中心に分担すると言う事が重要なのです。
補助金は企業の運営に補助するスキームで、おまけに赤字補てんだけですから永久に利益の出ない会社になってしまい、基本的に延命だけの結果の終わってしまいます。発展を全く考えられない会社の運営は経営ではありません。

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赤字ローカル線から「地域の宝」へ地域が一体となって希望ある存続を続ける「日本一心豊かなローカル線をつくる」としたたま駅長から学ぶ公共交通再生には学ぶべき事が多くありました。

今回、改めて岳南電車への補助金だけの公的支援だけのスキームについては考えなければいけない時が来ている事は強く感じました。