6月の一般質問でとりあげた幼児教育の現状と課題についてですが、この事は長くなりますので、何回かに分けて書きます。
まず、「幼稚園は、市立も私立もすべての地域にとって子育ての為の重要なインフラである。」と言う事は大前提である事は理解して頂きたいと思っています。
その中で富士市での幼児教育環境の問題の一つとして、私立幼稚園の大幅な園児減が挙げられます。
現在、全国的に幼稚園の園児数が減り続けている中においても、保育園の園児数は上昇に転じ、待機児童が出るほど、保育園の園児数が多くなってきています。これは、社会環境(就労形態)の変化と景気低迷による、いわゆる、保育園志向、幼稚園離れが表れ始めた事を示していると言えます。
富士市の幼児教育の現状として、
22年の園数及び定員・実員また、園児の充足率は、
私立幼稚園、17園定員4302名 実員 3238名 75,3%
市立幼稚園、11園定員1505名 実員 1139名 75,7%
幼稚園 、27園定員5807名 実員 4377名
私立保育園、14園定員1590名 実員 1758名110,6%
公立保育園、19園定員1760名 実員 1806名102,6%
保育園 、33園定員3350名 実員 3564名
合計 定員9157名 実員7941名
幼稚園は、私立、市立共に大幅に定員割れしており、特に私立幼稚園は10年前に比べ、約1000名の園児減少があります。一方保育園は、充足率は100%を超え、待機児童が出る状況となっている中では施設拡充が求められています。
市立幼稚園授業料、7500円に対して、私立幼稚園は1万8千円から2万円と授業料で2,5倍の格差があり、単純に授業料だけで言えば、市立に通わせたいと思う保護者もいる訳です。
しかしながら、それでも、富士市の場合はまだ就学前の幼児は幼稚園と保育園に2極化していますが、幼稚園、特に私立幼稚園に通う園児が半数近く占める割合が多い状況を表しています。
答弁でもありましたが、富士市の場合、私立幼稚園が先行的に設置され始め、その補充施設として市立幼稚園が出来た経緯があります。幼稚園の概要からも、成り立ちから考えても私立幼稚園は、今までに富士市の幼児教育を担ってきている功績は大きいと考えられます。少子化が進む中では、市立は授業料以外、全額公費で賄われているのに対し、授業料、県、市の補助や助成で運営されているのは、園児が減って行く事は幼稚園自体の運営に支障をきたし始めています。私立幼稚園は学校法人として登録されていますが、1つ1つは独立しており、個々の運営努力が求められています。
ただ、市立と違い私立は良く民間と言う言葉が使われますが、私立幼稚園は私の一文字でイメージ的には、「私的」なものだと誤解されがちです。学校教育法の規定では、学校(学校とは幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、大学、高等専門学校とすると規定されています)を設置できるのは、国、地方公共団体、学校法人と定められています。更に、学校法人は私財を寄付して成立する私立学校運営の為の公益法人です。解散時に残った財産は全て国へ帰属すると定められた法人ですので、私立学校は「私的」な物ではなく、国民住民の財産なのです。国や地方公共団体が設置する学校と同様「公的」な学校なのです。ですから、私立幼稚園は公共性や公益性は保証されなければいけないと言えます。
そして、幼稚園は地域の子育て・教育のセンター的機能を有しており、この事は幼稚園の規模の大小にかかわらず地域にとって重要な役割を担っています。子どもの育ちは幼稚園小学校と連続しており、幼稚園が無くなってこの流れが分断されるようなことに成れば、地域にとっても重大な問題が発生する事が考えられます。
冒頭にいました通り、市民にとっては、幼稚園は、市立も私立もすべての地域にとって子育ての為の重要なインフラである。と言う事は大前提であります。
その中での課題として、当面の園児減に対しての市立は公費で賄われている為に、今後の再編では検討されなければいけない事はあるのですが、脆弱な私立幼稚園で教育環境の充実や維持が出来にくくなっている事に対しては、自治体での私立幼稚園へ運営支援の拡充や保護者支援としての私立と市立の授業料の格差是正の助成の必要はある訳です。また、再編についても、認定こども園の誕生以来幼保一体化の動向もあり、今後の幼児教育についてしっかりとした私立・市立・幼稚園・保育園の連携の下での取り組みは重要な事でもあります。(次回につづく)