現在、赤ちゃんだけではなく、高齢者人口の増加により紙おむつの使用量、排出量は増え続けており、大人用子供用合わせておよそ100億枚の紙おむつが使用されているといいます。その増え続けるゴミとしての紙おむつの処理は自治体において大きな負担になっていますので、九州の大牟田エコタウン内にある紙おむつリサイクル施設「ラブフォレスト大牟田」を視察してきました。
視察先のトータルケア・システム株式会社さんは、テレビでも常識破りのリサイクルとして大きく取り上げられていましたが、医療、福祉、介護の現場から出される使用済み紙おむつを臭くて汚いごみとしてではなく資源として紙おむつを焼却処理をせず、水溶化処理によってリサイクルする新しいプラントシステムを立ち上げています。
これは、福岡県では今回視察したリサイクル事業者のトータルケア・システム(株)と連携し、使用済み紙おむつのリサイクルに取り組んできており、その結果同社は使用済みおむつから再生パルプを取り出すマテリアルリサイクルとしては国内唯一のプラントを大牟田エコタウンに設置しました。(マテリアルリサイクルとは使用済み製品や生産工程から出るごみなどを回収し、利用しやすいように処理して、新しい製品の材料もしくは原料として使うことです)
目標は紙おむつto紙おむつだそうです
環境にやさしい紙おむつリサイクルシステムとしては、「分別回収システム」「水溶化処理システム」「再資源化システム」が一体となって機能するシステムの事で、世界的な課題でもある温室効果ガス削減と環境負荷低減に大きく貢献できます。
また、全国初の水溶化処理システムは使用済み紙おむつを水と分離剤によってパルプ、プラスチック、汚泥類に分離して回収し回収したパルプは建築資材に、プラスチックは固形燃料に、汚泥類は土壌改良剤にそれぞれ再資源化されます。これにより焼却処理に比べCO2排出量を約40%削減でき森林保護にも役立っています。
(回収された紙おむつ)(取り出され再生されたパルプ)(大木町の回収ボックス場所)
「ラブフォレスト大牟田」では自治体と連携し200の病院、福祉施設と大木町の家庭から回収された紙おむつの年間5000トンの処理を行っていました。
高齢化社会では食事より排泄が問題となる事は予想できますので、紙おむつリサイクルシステムは資源循環型社会の構築を目指す上で必要な事であると実感しました。