木質バイオマスとしてのペレットは

猛暑の中、更に暑い話ですが、私の近くの水道業者のアイワさんでは、現在、地球環境にやさしいペレットストーブの販売を手掛けています。ペレットストーブやペレットボイラーを含めた取組みとしてのバイオマスは、富士市ではどの様になって行くのかはこれからの進み方次第であると思っていますが・・

そのような中で、新エネルギーとして木質バイオマスに取り組んでいる北緯40度に位置する岩手県葛巻町に行ってきました。新エネルギーマップの一つに、今回木質バイオマスの利用としてのペレット(木質)を製造する葛巻林業(株)があります。

全国的にみて、今まで、ぺレット製造は間伐材や樹根の消費拡大のために何度か普及が試みられていますが中々進みにくい状況であります。しかしながら、近年の地球温暖化問題、原油価格高騰、廃棄物処理経費の増大と徐々に追い風が吹き始め、普及の取組みは進められています。特に寒冷地での普及は進んでいます。
葛巻は、冬にはマイナス20度を超える寒冷地で、ペレット先進地でもありますので、公共施設にペレットストーブが使用され、ペレットストーブ購入に際しても、市でも助成金が交付され一般家庭でも導入が進められています。
(いわて型ペレットストーブ)

ペレット製造工場として視察をした葛巻林業は、製紙用チップ工場でした。そのチップ工場でペレット製造をするようになったかは、28年前まではチップにする丸太の木の皮はお金を掛けて燃やして処理をしていたのですが、オイルショックの時に燃料に出来ないかと考え、アメリカから牧草を持ってきてペレットにした事がきっかけになりました。
(ペレットの素になる木の皮の山)(暑さの為に、バスの中でのレクチャー)

その時に、ペレットボイラーを設置した方に、細々と供給をしてきたのですが、京都議定書以降、脚光を浴び始めました。現在、1時間に1トン、年間1600トンを生産し、キロ30円で卸していますが、ペレットの価格の問題があります。ペレットボイラーとして直接取引している所には、キロ28円で、商売としては採算に合わず、ペレットストーブに使用する一般には流通して行く間に、キロ40円から100円で販売されているそうです。やはり、ペレット先進地でも、未だ流通して行く段階での販売値段の変動はあり、ペレットを安い値段で多くの場所で供給するシステムは確立されてはおらず、一般家庭に置いてのペレットストーブも普及を難しくしているのかもしれません。また、もう一つの問題点としては、この施設に置いてのペレットは、間伐材の処理としてではなく、チップの材料にする為の皮の処理であり、9割以上が他から買ってきた物で製造されていることでした。
(木質を固める機械)(出来上がったペレット)

説明の中でも、あくまでも木の皮の処理で出来た産物であり、ペレットについては材料を仕入れてまで新たに作って儲かる商売ではないとしていました。間伐材の処理と言う観点で行政からの資金面の支援や森林組合等との連携の元での材料供給が連携しなければならなく、その他にも流通形態等多くの課題はある事が確認できました。
今後寒冷地で無い富士市では、更に一般家庭では普及しにくい事は考えられますので、まず温室栽培をする農業や子どもの国等の公共施設への導入を図る事を前提にした上で供給先をしっかり確立できなければペレット製造工場の出現は難しいのかもしれません。
ちなみに、県内では、天竜地域でペレットを重油に変わる新しいエネルギーとして、温室メロン農家への安定供給を進める為に、地元製材業者から排出される木屑からペレット製造をする天竜木質バイオマス事業組合が設立されています。

間伐利用としてのペレット製造は、政府が提唱するCo2の25%削減がどこまで本気かにより変わってくるとは思っています。

*2009年3月5日に「間伐材の有効利用としてのペレットストーブ」としてブログ掲載しています