(2018年12月13日富士ニュース掲載記事)
小長井義正市長は、来年度末の公表に向けて策定作業を進める富士市生物多様性地域戦略について「策定作業は始まったばかりではあるが、生物多様性についてはわかりやすく身近に感じられる戦略にする」と構想を示した。浮島沼つり場公園をトンボや富士山の眺望がきれいな場所として発信する考えを明らかにした。荻田丈仁氏(自民クラブ)の一般質問に答えた。荻田氏は「生物多様性の損失は地球規模での喫緊の課題。市内東部の身近な現状でも多くの生態系の変化に対しての問題がある」と指摘。「市が管理する浮島ヶ原自然公園で平成27年委天然記念物に指定されたサワトラノオを含む希少植物の適正管理や浮島沼つり場公園のトンボの保全が求められる」とした。
小長井市長は市生物多様性地域戦略について「多様な生き物が生息し、つながり合う中で人々が豊かに暮らしていく事が出来る市を目指す。市民、事業者、行政の協働で市生物多様性を将来に保ち続ける事を目的とする」と説明。計画期間は長期的には2050年の将来像を展望しつつ、短期的には2030年までとして策定を進めている。
浮島沼つり場公園について小長井市長は、「貴重なトンボの生息地として十分知られていない。来園者には貴重なトンボについて広く知ってもらい、環境教育に繋がるようトンボの生息についての説明看板の設置やSNSによる情報発信を行う」と話した。荻田氏は「希少なトンボが生息する公園と分かるように発信するため、名称を浮島沼つり場トンボ公園などにした方が良いのではないか」と提案。小長井市長は「名称の変更は貴重なトンボの生息地として周知が図られ、親しみある公園に繋がる事から、認知度の向上に効果的な手法の一つ」との考えを示し、関係する団体や地元公園愛護会の意見を聞きながら検討するとした。
市と右京区によると、常葉大学社会環境学部に委託している調査を通して、平成27年度は20年度に比べて個体数が減少している事が明らかになった。その後、ハスの繁茂がトンボの生息に影響を与えている事が判明したため、専門家の指導で試験的にハスの一部を除去したところ個体数が増加した。現在トンボの最適な生息環境の保全について検討を進めているという言う。