FM(ファシリティマネジメント)とは簡単にいうと不動産の運用、活用、施施・設備管理の事を意味し、建物や設備、土地等を現状に維持管理運用することですが,富士市でも財政状況が悪化することが予想されている中で、本格的に公共施設のFMの取り組みが始まり始めています。今回、総務市民委員会でFMの先進事例として人口48万3000人一般会計1810億の財政規模の中核市倉敷市を視察してきました。倉敷市は約4800棟の公共の建物を保有しています。このうちから、管理の明確な学校・幼稚園と市営住宅を除いた上で主要750施設をピックアップし、現場に赴いて点検および報告書作成を行う活動に3カ年計画で着手しています。
その取り組みを含め倉敷市企画財産部財産活用室三宅香織次長から「実戦から始めるFM~倉敷流」について熱い説明を受けてきました。
倉敷市においては、公共施設管理はトップダウンではなく「超ボトムアップ」で行われています。これは、縦割りの資産管理では、全体の中での修繕の優先順位が判断できず、ついた予算は全額使い切るため、コストの削減に結びつかないと縦割りの弊害の問題や課税対象にならず、登記もされない公共施設の場合は、図面を長期管理する意識が育っていないことも問題であったとして、施設データの一元管理を目標に、実際に現場の状況を把握する建物設備点検をFMの“心臓部”と位置付け取り組みを進めていました。また、全体を“見える化”すると同時に、点検のみで終わらず、その現場で所管課の職員に結果を伝えるのも大切な仕事であると強く指摘した上で、法令違反の指摘、修繕の必要性や予算の見通しの説明、清掃の指導などを通じ、担当職員の意識向上を図る事が大切であるとしていました。建物の長寿命化は掃除からで、現場で可能な予防保全として、塗装実地研修や雨漏り研修なども実施しています。
所在不明になりがちな建築図書の引き取りなども行いながらデータを一元化する。その上で、施設としての重要度合い、リスクの度合い、劣化の度合いなど様々な項目ごとに点数を付けていき、予算を割り当てる際の優先順位を決める。
自治体特有の問題として、修繕などの工事の費用を適正に抑える力が働いていなかった事があり、予算の要求についても、所管課のアピールに任せるのではなく、客観的に点検、予算化、その執行を一元化する体制づくりを進めてきたその効果として、全体最適化が可能になりつつあるとの事でした。
私が今回一番勉強に成った事は、施設の長寿命化は計画通りにやっていればの話で今までほっといた施設の長寿命化は難しくボロになっての長寿命化は駄目駄目であり、なんでも長寿命化、延命ではなく建て直しの方がコスト的に安い場合がある事が分かり、FMの考え方の中には売却や立て直しもあると知ったことです。特に命にかかわる病院等は30年以上経っているなら長寿命化より設備充実や機能性を第一に考えた建て替えは必要な事であると改めて感じた事でした。