会社は誰の為、社員の幸せの為。(伊那食品工業)

長野県伊那市に伊那食品工業株式会社は、寒天メーカーという斜陽産業において、48年間増収、増益を果たしてきた超優良企業ですが、ただ、業績が優れた会社という事ではなく、企業自身の社会価値が優れた会社でもあります。

伊那食品さんの会社を訪問して、まず、驚いたのは、私がイメージしていた製造業の会社とは懸離れたもので、まるで、自然に囲まれたリゾートにある手入れの行き届いたゴルフ場に来たような感じでもあります。

自然に調和した中には、美術館やレストラン等々もあります。ちょっと早めに会社に着いたのですが、あちらこちらで掃除をしている方や、木々の手入れをしている方がいます。後で聞いて分った事ですが、業者に委託をせず、必要な機材は揃えてあり、すべて、手入れをしている方々は社員の皆様でした。必ず、早めに出社して、自発的に、会社をきれいにする活動に取り組んでいるとの事でした。(トイレ掃除は服を付けて汚くないくらい徹底しての清掃をしています。トイレに入れば分かります)

自然の中には、石碑に社是として「いい会社を作りましょう」が掲げられていましたが、「時代と共に経営手法は変化しても企業の社会的責任と義務、会社は人間の為にあるという本来あるべき姿を忘れない経営をいつの時代も目指します」としています。

これは、会社の真の目的は会社を構成する人々の「幸」の推進を図りながら、様々な分野で社会貢献をする事であるそうです。その為に、よりよい社会人を育てるべく、社員の人間教育に力を注いでおり、会社の成長も利益も手段であるとし、多くの人々から「いい会社ですね」と言ってくださるような会社づくりを進めているそうです。
(説明対応をしてくれた丸山室長)

社員の為の会社として、社員の事を考えて
1、 上場はしない。
2、 3交代はしない。
3、 海外赴任をさせない。
と説明がありました。従業員は、500名弱ですが、全国でも有数な中小企業でもあります。社員の為の会社でありますから、当然、労働組合も存在しません。
ちなみに、本年度新卒者の採用は、2000人以上の申し込みあり、900名から20名の採用でした。
また、伊那食品さんは、観光コースにも組み込まれており、年間35万人が訪れるそうです。
環境整備、雇用、納税、メセナ活動等々、伊那市にはなくてはならない会社です。社員に愛される会社でもありましたが、地域が必要とする会社でもありました。
(業界8割のシェアーを持つ、主要寒天商品)

富士市において税収を上げていくには企業誘致は必要な施策であると思っています。今回の視察を通じて、全国的に有名な伊那食品工業さんではありますが、「富士山の湧水が豊富な富士市に工場誘致ができないか?」と可能性を確認して見たのですが、残念ながら、「郷土愛す。地元を愛す。」という事からも工場を伊那市以外に設ける予定はないとしていました。
残念です。