気候変動と食糧問題

国際連合食糧農業機関(FAO)環境・気候変動・バイオエネルギー部の金丸秀樹氏の「気候変動と食糧問題—今後の農業、食糧生産」というセミナーを抽選で選ばれたので、東京の大手町にある日本経済新聞社本社へ行き勉強してきました。

講師の国際連合食糧農業機関FAO(Food and Agriculture Organization)とは、世界の食糧生産と分配の改善と生活向上を目的とする国際連合の専門機関の一つであり、国際的な調査に基づき、世界各国の農林水産業への勧告などを行っています。主な活動としては、世界の食糧、農林水産業に関する情報収集並びに情報提供また、政策提言をいたします。本部はローマで講師の金丸氏も一時帰国をしてのめったに聞く事が出来ない講演でもありいい機会でもありました。
 世界的な観点からの話ではありましたが、気候変動は起こっており、過去100年間で+0,74度日本は+1度と上昇速度が速くなっており、過去100年間で17センチ海上面が上昇しています。20世紀半ばから全球気温の上昇は人間活動に温室効果ガス濃度の上昇が原因であるとしています。

そのトレンド(気候、自然界、人間活動)として、「1970年代以来旱魃に見舞われる地域が増加、過去50年で寒い日が少なくなり、暑い日がおおくなった。熱波や豪雨が多くなった。20世紀後半の北半球平均気温は過去500年間のどの50年間と比べても暑かった。春が早く来るようになった。植物や動物の生息域が標高の高い方に移っている等」、が観測されています。将来の予想としては、今後20年で0,4度程度の上昇は避けられないとしています。気候変動に関する排出量の削減もポスト京都として取り組んでおり、農林水産業で緩和策が取られていますが、気温の上昇は日本の農業へも大きな影響を与え気温の上昇か2度までなら米収量は増えるが3度を超えると収量が減り始めます。また、気温の上昇による影響は果樹への影響が大きく適応策も取りにくいとされています。3度以上の気温上昇では食糧生産は減少に転じ、穀物価格は高騰し、途上国の食糧輸入依存が進み、直接人類の生活を脅かす事が考えられます。色々な緩和策や適応策も取り組んでいく話もありましたが、まとめとしては、
・気候変動は温暖化だけでなく気候システム全体が変化し自然界、人間活動に影響を及ぼし、エネルギー、運輸問題だけではなく、農業にも大きく関係している。
・農業は緩和策にも貢献でき、森林は緩和策の最重要課題の一つ。・農業は貧しい国に大きな影響を及ぼし、適応策が必要、適応策と緩和策は両立する。
・気候変動問題に関して途上国支援を強化する事で世界の食糧安全保障に努めるべきである。
・食糧問題にとって気候変動は脅威だけではなく世界が飢餓問題に真剣に取り組むチャンスである。
として、最後にこのセミナーを通じて、食糧問題について自分の生活や会社においても考えて欲しいと言ってました。
難しい内容でしたが、大きな視点で物事を考え、身近にできる活動を進める為にも、いい勉強になりました。

 日本経済新聞社の本社に初めて行ったのですが、ロビーには株式やニュース等が流され、セミナー会場はからは皇居も見える場所でもあり、つい物珍しくきょろきょろとしてしまいました。