三岐鉄道北勢線の現状と今後の課題

岳南鉄道の問題もあり、経営難に悩む鉄道を有する他の自治体での対応を研究したく、平成15年より10年間の自治体支援をしている三重県の桑名市、いなべ市、東員町20,4キロを繋ぐ、日本一狭い路線幅76,2センチのナローゲージで有名な三岐鉄道北勢線の視察をしてきました。

三岐鉄道は、本年度が運営資金に対する支援(55億円)の10年目にあたり今後の動向は気になるところでした。すでに事前で、質問を送ってあったのですが、始発駅の西桑名駅より、出迎えに来てくれた北勢線対策推進協議会の北勢線対策室室長が対応してくれ、対策室のあるしそほろ駅までの電車の中でもレクチャーしてくれました。

対策室長を始め対策室の職員は各自治体の職員でもありますが、三岐鉄道に対しては熱い想いがある事は感じます。
(線路幅は足を開けば跨げます。室内での通路は狭いです)

一番気になった、現状と課題での説明は
(1)北勢線の現状として
北勢線の現状モータリゼーション等の進展により、多くの地方鉄道では長期的な利用者の減少傾向が続いており、北勢線においても昭和50年度の約597万人をピークに減少傾向となり、平成4年度か羅は毎年連続で減少してきました。ただ、北勢線沿線には高校が6校(公立5校、私立1校)、通学で使う中学校1校と通学による利用は多いです。
北勢線が三岐鉄道による運行となった平成15年度には、運賃引き上げ等により利用者が大幅な減少となりましたが駅の再配置等のリニューアル事業は、沿線市町によるパークアンドライド等の駐車上整備により、平成16年度で減少は下げ止まりとなり、平成17年度以降は増加に転じ、リニューアル事業も終盤に差し掛かった平成21年度においては,リーマンショックによる世界的な不況に加え、インフルエンザの長期流行による出控えや、高速道路の無料化などの要因も相まって年間乗車数約222万人の前年比で約3%の落ち込みを招いたが各駅におけるパークアンドライトの定着化等リニューアル効果があり、翌年度平成22年度には約227万人、平成23年度には233万人と増加傾向にあります。パークアンドライドとしての駅は13の内9か所整備されており、すべて無料であります。
しかし、平成19年度に5年を経過して、当初の主要予測数値と現在の利用者数の開きが生じていることから、改めて地域住民のトリップ状況、公共交通機関の分担状況、鉄道サービス改善施策の効果を反映できる手法によって需要予測を平成23年度に行いました。
この需要予測調査結果からはこれまで実施されたリニューアル事業は北勢線の需要の増加に大きく寄与していることが改めて確認されました。しかし、同時に北勢線の利便性向上の認知度や活用度の向上がが低いことも判明いたしました。
また、調査から沿線地域については、自動車の利用が多く、交通の分担率は非常に低いものの、公共交通が適切な役割を担う交通体系へ転換に意識は多く認められたことから、これからの要素を踏まえ、今後も利用者増加と北勢線の存続に向けて取り組んでいるところです。
(対策室でのヒアリング風景・様様な資料が提出されました)

(2)北勢線の今後の課題は
平成14年11月に交わした覚書では沿線市町による運営資金支援は平成24年度までであり、平成25年度以降は三岐鉄道が責任をもって自主運行することになっていましたが三岐鉄道から平成25年度以降営業赤字縮小は見込まれるものの損益改善は、困難ということで北西線対策推進協議会では新たに平成25年度から平成27年度までの3年間を支援することを決定しました。
地域、行政、鉄道会社が一体となっており、国、県に対してももらえる補助金等の支援も取り組んでいます。イベントも年間60以上行っており、やれるべきことはやっている状況においても、10年支援しても需要予測に至らない経緯は公共交通の難しさは感じました。
岳南鉄道を存続するためには、早急にしっかりとした活性化計画を作ったうえでの支援体制の確立は求められることでもあると感じています。今後の岳南鉄道の支援のフレームを考えるうえでは有意義な視察でもありました。できる事なら、都市計画職員にも視察してもらいたいと思っています。

もっと詳しい、視察報告書は提出しますが、とりあえず、ブログからの最初の北勢線三岐鉄道の状況を報告します。