尾道市の空き家対策について

尾道市に空き家対策について視察してきました。

視察するまでの朝早い時間に歩いて高台にある尾道市の名所、千光寺まで行ったのですが、その途中、空き家が多い事に驚きました。初めて来た土地でもあるのにも拘らず、空き家対策の必要性は感じます。

(空き家、廃墟があちらこちらに目立ちます)

尾道市の街並みはお寺が多く歴史や文学碑等もあり文化的な風情は漂っており、景観的にも魅力があるまちである事は間違いないのですが、お寺が多い地域は、道が狭い事、坂道が多い事、古い建物が多い事、火災になった時の消化活動ができにくい事、車が入れない状況にはお年寄りには生活がしにくい場所であると歩きながら実感しました。(空き家密集地の高齢化率は約45%)

市役所での空き家対策の1つとして「尾道市空き家バンク」についての説明では、
NPO法人尾道空き家再生プロジェクトが尾道市と協働でスタートさせた事業の「尾道市空き家バンク」があり、それは、尾道らしい坂のまちや古い家に暮らしたいと言う方と空き家をどうにかしたいと願う家主さんとマッチングするシステムの事で、高齢化、廃墟化の進む坂のまちに定住してくれる移住者広く募集し、地域の活性化を担う次世代のコミュニティを構築しつつ坂の町、尾道の町並みを後世に引き継いでいく事目的としていますが、年間20件程度の空き家に新たな住居者が見つかっているとの事です。また、空き家相談は毎月40件位寄せられているそうです。その他にも空き家対策として、空き家再生促進事業、老朽危険物除去促進事業補助等補助金交付制度を市として行っています。
ただ、尾道市には1万2000戸の空き家があり、空き家が密集する地区においての調査では、空き家300戸の内50戸は所有者不明か連絡がつかない物件でもある状況は今後の大きな問題でもあるとしています。

空き家対策は全国的な問題もあり、空き家の問題点として、
倒壊危険=危険な状況の解消
生活環境への影響=ごみの不法投棄
安全な生活への疎外=防犯、火災の防止
が挙げられており、多くの自治体において空き家等の適正管理条例の制定がクローズアップされています。昨年、富士市の議会においても空き家条例が取り上げられていましたが、尾道市での空き家対策は都市部での一般的な安心、安全を守る観点からよりも、文化財の保護や景観形成の維持、街並み再生に重きがあるようにも感じました。実際問題としても、尾道市では安心、安全はこれからの課題でもある事は市当局としても捉えていました。
でも、尾道市には若い人、健康な方ならば、不便であっても、住んでみたいと感じさせる魅力は十分あると思いました。