25年6月議会一般質問

   「目指すべき田子の浦港の姿の実現について」
お許しを頂きましたので、私は先に通告してあります「目指すべき田子の浦港の姿の実現について」の一項目について質問いたします。
田子の浦港については、ご存知の通り、古くは「吉原湊」と呼ばれており、駿河湾の最奥部にある、富士山麓の南を流れる沼川と潤井川の合流点に建設された「掘り込み式港湾」で、昭和33年に静岡県総合開発計画に基づく駿河湾港臨海工業地帯の拠点として建設に着手し、36年供用開始、39年に重要港湾となり、10余年の歳月と総工費130億円をかけ完成したその後、富士市の地域経済の成長と共に順調に工業港として発展してきました。田子の浦港には豊富な工業用水を活用した製紙、化学工業等の製造業、また、石油配分基地、セメントサイロ等が多く立地しており、同港はこれらの企業の原材料の供給港としての物流拠点として重要な役割を担いながら、現在は、県東部の産業を支えるバルク貨物の拠点港としての位置づけでもあります。
近年では世界的な経済不況と言われている中では、富士市においても、大手製紙会社の生産縮小や海外への工場建設が進み経済環境が変化する状況においては、田子の浦港の取扱量は減少の一途をたどる厳しさは増しています。しかしながら、東名、新東名、国道等々また、これからの予定としても新々富士川橋開通予定と交通アクセスが整っていく中での港がある事は富士市の産業界にとっての大きなポテンシャルであることは間違いなく、今後とも田子の浦港の利用をした物流拠点としての産業基盤整備の強化は重要な事であると考えます。ただ、近年の国際的な物流競争では、国は従前の港湾行政を転換し選択と集中による特定港に経営集中をさせ国際競争力を高めようとした結果、平成22年には田子の浦港は重点港湾に選択されない事による国の直轄事業が行われなくなる影響が心配されていました。その後の国際バルク戦略港としての連携港になった事は更なる整備に期待が持てる事となっています。
その港湾整備については、「産業活動を支える物流機能の高度化」「市民生活の寄与」を目標に掲げ、港湾計画に則った上で今までも取り組んでいる大型貨物船等が入港できるような整備、浚渫工事、耐震工事等と市民生活に寄与する公園整備等と共に、3,11の東日本の震災を契機に更なる安全、安心な災害に強い整備推進は求められています。また、それとは別に6月22日に富士山が正式に世界文化遺産登録に成された事は、富士山が世界の宝となり富士山に関わるまちとしては大変に喜ばしく、日本国内をはじめ世界各地からの交流人口の増加による様々な活性化は期待されています。その意味でも富士山に関わるまちの中でも、世界文化遺産のある一番近くの港としてのこれからの田子の浦港は観光利用を含む有効活用はすべき事であります。現在、昭和43年に設立された田子の浦港の整備発展及び利用促進を図る目的とした団体として、48の企業、団体が会員で組織される田子の浦港振興会があり、港湾及び港湾周辺地域の整備発展の為の懸案事項の要望はなされてきています。また田子の浦港利用促進協議会ではポートセールス実行委員会が平成22年に設立され田子の浦港の利用促進が図られています。しかしながら、震災や世界遺産登録を契機に、更なる港湾整備や利用促進、有効活用の推進とともに新たなる駿河湾港アクションプランの計画を進める上では市は勿論ですが、振興会の求められる役割は大きいと考えます。
次代を変えていく大きな転換期が訪れている中では富士市においても、港湾所在都市としての将来展望を描きながら、富士市の目指すべき田子の浦港の姿を明確にしなければならない。と同時に緊急に求められる港湾の防災対策は重要で田子の浦港周辺地域に対してや港に近い企業の留置対策としても対応はせまられています。その意味では、都市活力再生ビジョンにおいてセーフティ確保戦略取り組み39に「田子の浦港の津波対策の促進」として具体策に協議会の設立要望の取り組みはありますが、災害に強い港を少しでも早く実現するためには国、県との連携を取りながらも市としての強いリーダーシップは求められています。
静岡県では田子の浦港の概ね10年程度の将来を目標年次として、港湾の開発・利用及び保全の方針を明らかにするとともに、将来の貨物量や船舶乗降客数などの取扱能力に応じた港湾施設の規模や配置、また、港湾の環境整備や保全に関する事項などについて、平成13年の港湾計画後、静岡県の主要港湾である清水港、田子の浦港、御前崎港の3港を駿河湾港として機能分担、相互補充を図りつつ一体的な利活用を図ると共に危機管理対策を進める事として平成23年には駿河湾アクションプランが策定されており、今後、推進計画が進められようとしていますが、市としての田子の浦港のある明らかな優位性を考えるならば、港湾所在都市でもある富士市が目指す第5次総合計画でのまちづくりの実現に向けて田子の浦港は寄与することを念頭に、富士山の世界文化遺産登録がなされ、第4次地震被害想定が公表されることを機会に将来のベイエリアの産業、防災、観光等の振興をふまえた総合的な港湾ビジョンを持つことは必要であると考え以下の質問をいたします。
1、 田子の浦港の港湾整備及び利用促進策はどのようなものであるのしょうか、課題をどのように捉えているのでしょうか
2、 県の第4次地震被害想定の第1次報告がまもなく公表されると思いますが、津波対策の促進として(仮称)田子の浦港津波対策協議会設立の緊急性が求められていますので現状はどのようになっているのでしょうか
3、 世界遺産を契機に富士山がきれいに見える港として客船や帆船の誘致活動の取り組みはできないのでしょうか
4、 港湾管理者は静岡県でありますが、港湾所在都市としてのイニシアティブを持つ意味でも産業界や団体等を交えての駿河湾港アクションプランへの推進組織や他の港湾所在都市でも策定されている将来の姿を描く「田子の浦港ビジョン」(仮称)の策定は急務の事であると考えますがいかがでしょうか
以上の4点について伺い、一回目の質問と致します。