吉原登山道ルートにまつわる「富士本油田事件」

大渕の岩船観音祭りに参加したのですが、法要後、長谷川理事長から興味深い話がありました。それは富士市を縦断し、駿河湾から東海道の旧吉原宿や大淵地区を経て、山頂に至るルートとみられる吉原登山道がありますがそれに関連することです。

近年、吉原登山道のルート研究が市民団体により進められていますが、ルートにまつわる逸話として、燃料不足が深刻だった戦時中、富士山麓に油田があるというデマが広まり軍関係者らが視察に訪れたという「富士本油田事件」があります。この逸話は、太平洋戦争中にこの地に来た巫女が「富士山麓に石油がでる」と言う神のお告げがあったとして大がかりな石油採掘事業が始まりました。5年の間で巨額なお金がつぎ込まれ、また、300人から400人の労働者が働き、石油が出るとされた時は軍関係の方々も大勢来ており、当時は地域も大変潤ったとの事です。
(当時の富士山の麓での風景)

ただ、1000メートルに及ぶ採掘を続けたのにも関わらず、石油が出ない事により出資者も手を引き消滅してしまいました。石油が嘱望された事により、戦時下の狂信的な時代でのその当時の逸話でありますが、日本の3大詐欺事件の1つであるそうです。詐欺事件とは言え、面白い話が富士市にあると感じました。

現在岩船観音様の見守る場所に石油採掘の跡地と吉原登山道の看板が設置してあり観光振興を進めていきたいとの事です。
石油採掘場所を眺めながら、富士市が富士山南麓の吉原登山道として売り出す大きな観光の目玉となるロマンを感じました。