市立病院の経営形態について考える。

平成23年の11月議会で中央病院の経営形態の在り方について質問しました。これは、地域の基幹病院の役割を担う多くの自治体病院において、損益収支を始めとする経営状況が悪化するとともに医師不足に伴い診療体制の縮小が余儀なくされるなど、その経営環境や医療提供体制の維持が難しい状況があるからでした。

現在の富士市の病院経営形態は、地方公営法にもとづいた一部適用ですが、病院運営検討委員会で、中央病院に相応しい経営形態は、地方公営企業法の全部適用とすることとされ、経営形態の変更をした上で様々な病院改善を進めながらも、全部適用の企業管理者としての任期4年間を考慮しながら、改善効果が得られなければ独立行政法人化への移行も視野に入れる事が提言されていました。
そこで、病院経営の1つの先進事例として、平成24年4月1日に地方独立行政法人堺市立病院機構に移行していますので視察をしてきました。
地方独立行政法人とは、公共上の見地から確実に実施が必要な事業(病院等)で民間が主体となった場合必ずしも実施されない恐れがあるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的に市が設立する法人です。

堺市立病院での説明での独法化メリット・デメリットについては
地方独立行政法人化のメリット
1、 法人運営及び事業執行の弾力性の向上
・地方独立行政法人の自立性・機動性・透明性を活用した運営
・経営に対する責任と権限の明確化、迅速な経営判断や課題解決
・職員の信用や給与等の弾力的な人事管理
・弾力的かつ効率的な予算執行
2、 サービス・質の向上
・患者サービスの向上
・評価委員会による業績評価などを通じた業務改善サイクルの確立
(市)
3、病院事業に対する一般会計の負担減
 ・病院経営改善の推進
独立行政法人化のデメリット
(市)
1、地方独立行政法人制度への移行に伴うコストの発生
 ・会計基準や各種規定の変更に伴う新たなシステムの導入等
 ・移行に必要な出資金、退職手当等の負担
2、 新たな業務運営コストの発生
 ・評価委員会等の運営コスト等
が示されました。
先日、富士宮市立病院での整形外科医の引き上げ問題がありました。かっての中央病院の産婦人科引き上げに続き、富士医療圏の脆弱さがまたしても露呈してしまったのですが、医療を取り巻く環境が厳しい中、スピード感をもって変化に対応できる体制は必要に成っています。
中央病院の現況は良好とされていますが、富士市の中期経営改善プラン目標年度が平成25年度でありましたので、病院の経営形態の在り方を再度検討すべき時が来ていると思います。