徳島県でのDMVの取り組みについて。

CIMG0662デュアル・モード・ビークル(DMV)という世界的にも特異な鉄道車両ならびに交通システムの開発がJR北海道によって進められてきていました。利点として車両の導入費用が通常の鉄道車両よりも遥かに安い事、既存の鉄道軌道を流用できる事、道路も活用する事で弾力的な運用が出来る事等、公共交通(特に地方鉄道)の採算性に悩まされている日本の各自治体や鉄道会社から注目を集めてきていました。
富士市においては新富士駅~富士駅間の接続が大きな課題としてありましたが、その解消も含め岳南鉄道の経営改善策としてDMVの導入が検討され、いち早く、平成19年1月にDMVの試験走行が成されました。また、平成20年には「富士市DMV導入基本計画」が策定されており、DMVによりシームレスな東西軸を形成して、東西方向の公共交通の基軸として概ね5年後の供用開始が目指さしてきた経緯がありました。私も富士市で試乗もしましたし、以前にはそのJR北海道には視察に行っています。1,DMV
しかしながら、開発先のJR北海道が度重なる鉄道事故により、安全対策を優先に、DMVの開発及びDMVのビジネスパッケージとして取り組みを中断している状況となり事実上、富士市でのDMVの導入は頓挫している状況でもありました。また、小長井市長においての取り組みの中では、DMV導入は断念したのではと言う声もありました。
その様な中で、今年になり、各メディアにおいて、徳島県の阿佐東線においてDMVの導入が大きく報道され始め、既にDMV導入協議会が立ち上げられ、本年度の県予算もついての実用に向けての取り組みが始まっている事を知り、今までの経緯を考えれば富士市も黙っている場合ではないと視察に行ってきました。
もともと徳島県はJR北海道が導入してからDMVを導入するつもりでしたが、JR北海道がDMVの開発を断念したため、今後は徳島県が観光の目玉とすべく主体的に世界初のDMVを運行するための手続きを進める事にしたそうです。
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具体的には鉄道事業法や道路運送法に基づく国への申請や届出が必要とされ、国交省の有識者委員会がDMVを導入する前提条件として挙げているのは、運行区間をDMV専用路線とすること(従来の鉄道車両は走行できない)、長大トンネルがないこと、1両で走ることなどでした。その前提条件をクリアしながら、2020年のオリンピックに向けての阿佐東線でのDMVの運行を開始する予定で取り組まれていました。徳島県のDMVの運行への本気度として、DMV導入協議会が2回開催され、本年度は既に導入車両3両の予算1億8500万余も付けられていました。
視察前までは富士市でも導入ができるのではと思いましたが、現況の国交省での前提条件が徳島県と同じようにクリアできるかというと課題も多く、岳南電車では難しいのではというのが結論です。ただ、国交省の前提条件が変われば富士市においても可能性は高まりますので、国交省の動きには注視すべき事であると感じました。