企業誘致の取り組みとは

産業の活性化、雇用の拡大を図る上でも、富士市のフロント工業団地を始め、企業誘致は重要な課題でもあります。「世界の亀山モデル」として有名なシャープの大型液晶テレビ製造工場がある三重県亀山市へ企業誘致への取り組みについて視察してきました。

亀山市は、国道1号線、東名阪自動車道、近畿自動車道伊勢線等の幹線道路が整備された交通の要衝地でもあり、産業団地は、これら幹線道路の結節点となる亀山インターチェンジに至近な位置に立地しており、鈴鹿山系の自然豊かな環境の中で、良好な企業活動を展開していただける大変優れた産業基盤を提供しています。
企業誘致についての背景と経過においては、バブル崩壊後の経済状況の悪化による企業の設備投資の減少、主要な製造業の海外移転等により企業誘致には難航し開発には着手できない状況が続いていました。県が進めているクリスタルバレー構想(液晶関連産業の集積)の核となる企業として県が誘致活動を展開してくれ、敷地面積10万坪の要件にあったのが、開発に着手できてなかった亀山でありました。また、当時の北川三重県知事は、亀山市長が仲人をしており、強いパイプもあった為に、県と市(行政)と開発会社と企業の3つが連携し、平成14年2月に表明した後、平成16年1月操業開始まで、僅か1年8か月と言う驚異的なスピードで企業誘致が図られました。このことからも、企業誘致に対しては、トップの営業力とネットワークは必要な事である事は感じます。
亀山市は人口5万人の市ですが、シャープの亀山工場ができた事による経済波及効果は特筆すべきものがあり、シャープ関連取引企業は33社、雇用者数は約7100名。ビジネスホテルも1つしかなかったのが7つとなり、平成13年には3598億円であった製造品出荷額は平成21年には1兆115億円と3倍に膨れ上がっています。また、「世界の亀山モデル」と言うフレーズにより、亀山市のブランドは知れ渡りました。シャープが誘致された事により当然、税収も上がり、財政が豊かになった亀山市はまるで宝くじに当たった様な感じではないのかと思ってしまいました。
ただ、今後、家電業界も厳しく、すでに大型液晶は堺市の工場にシフトされており、現在はスマートホンの液晶製造が手掛けられ始めたそうですが、海外進出も含め、企業留置は、行政としても手を打っていかなければ、撤退となった時には大変な事になる恐れはあると感じました。(富士市の大手製紙企業縮小においての状況を考えると・・)亀山市でも企業留置は大きな課題であるとしていました。
企業誘致活動は、自治体間での競争でもあります。
補助金や助成金も大切ですが、スピード感が求められる以上、市長のトップセールスによる企業誘致は不可欠な事でもあります。

*シャープの亀山工場を見学させて頂きましたが、シャープの技術とあまりの広さにびっくりです。