瀬戸内アートの楽園

 瀬戸内海に浮かぶ小さな島に、「よく生きる」をキーワドとして、現代アートと自然と歴史が息づく文化を、民間企業である学習塾を経営する、ベネッセコーポレーションは直島で取り組んでいました。

 瀬戸内のアートの楽園と呼ばれる所以は、歩いて回れてしまうほどの小さな島には、安藤忠雄のほとんど地上には現れていない地中美術館、島の至る所に点在する野外アート、現代アートと廃家を利用したまちづくりをしている家プロジェクトと、島へ来て文化芸術に触れ、色々な事を感じる事ができる空間がつくらられているからでもあります。
(地中の庭) (ベネッセハウス) (有名な南瓜と言う作品)

 芸術にあふれる島内では若い人が多く見受けられ、思い思いの場所で自由に時間を過ごし、また楽しむ事が出来る場所になっている事を感じました。
 直島での家プロジェクトとは、1997年に、直島町役場より木村地区のある方が家屋を譲りたいという意向を持っているが利用してもらいたいと言う事からスタートしたそうです。直島において木村地区はは、古くからの集落で、城跡や寺、神社などが集まっている地域です。
 しかし、近年では過疎化と高齢化が進み、空き家も目立ってきていました。そこで、単なる町並み保存と言う考え方ではなく、現代アートを絡める事で、意外性が生じ、廃屋の可能性がさらに活かせる方法をとりました。直島の木村地区を舞台とした常設のアートプロジェクトで古い家屋の改修の域を超えてアーティストが家の空間そのものを作品化したものです。そこではそれまでに営まれてきた生活や日本の伝統、美意識に対峙した空間が形づくられていました。
(家プロジェクト表示)(廃家の中にある自由の女神)(毛糸で絵が描かれた塀)

 家プロジェクトは、町並み保存ではないという事が実際見て回り感じました。聞くところによると、島の年配の方が話し始めたり、物を修復する事により、関わりができ、家プロジェクトを進めていく中では、美しさや意識したり、ボランタリー精神が進み始めているとの事であり、現代アートと使い物にならなくなってきた廃家が思いもやらない形に生まれ変わる様子見る事は島に住むお年寄りの大きな自信にも繋がっているとし、古いものの良さが再発見され、新しい価値が加わってのプロジェクトとして発展している方向性は新たなまちづくりであると感じました。見て回りながら、古いものと新しい融合は思わず、「温故知新」と言う言葉を思い出してしまいました。
 民間企業であるベネッセが、この島でここまでまちづくりに関与しているのは単なるメセナの一環だけではなく、文化芸術の創造に取り組む経営者の思いの強さを感じました。

観光ボランティアの川田さんも急ぎ早やの説明をさせてしまい、ご迷惑を掛けてしまいましたが、短い時間ではありましたが内容の濃い、心も洗われた有意義な視察ではありました。